おしっこが出ない時は救急の処置が必要かもしれません
2023/11/24
すぐに処置をしないと命に係わる救急症例の中でも冬に多くなるのが尿路閉塞という病気です。この病気の症状に“何度もトイレに行くけれどもおしっこが出ない”というものがあります。同じ症状を示す病気に膀胱炎というものもあるので、これらの病気の違いと見分け方をお伝えしていきます。もしもご家族の犬猫さんに当てはまる場合は動物病院へご相談ください。
目次
まず尿路閉塞とは?
尿路閉塞とは読んで字の如く、おしっこが作られて排出される経路である尿路が何らかの原因によって閉塞してしまうことを指しています。この閉塞の原因で最も多いのが尿結石です。
尿結石とはおしっこの中に混ざっている石です。この石は多くの場合、おしっこの貯蔵タンクである膀胱で作られます。体の中の不要物を腎臓がおしっこに作り替えていますが、その時にミネラル分が多過ぎるとおしっこを溜めている膀胱で結石として固まることによって生成されます。
この尿結石が膀胱の中でミネラル分を集めてどんどん大きくなっていくと、排出される途中の尿道で詰まってしまって尿路を閉塞します。結石によって蓋をされている状態になるのでおしっこをしようとしてトイレに行ってもおしっこが出ないという状態になります。この状態が長く続くと、本来は捨てなくてはいけない不要物が捨てられなくなり、腎臓が働けなくなってしまいます。
尿結石が尿道で詰まってしまうのは比較的尿道が長いオスの犬猫さんに多いです。
では膀胱炎とは?
何度も何度もトイレに行くけれどもおしっこが出ないという尿路閉塞と同じ症状を示す病気に膀胱炎というものがあります。この膀胱炎の原因にはいくつか種類があるのですが尿結石もその原因のひとつです。
前述のように不要なミネラル分が多過ぎたことによって膀胱の中で結石ができてしまうと、この石が膀胱の壁の内側をつんつんちくちく刺激します。この刺激によって膀胱が炎症を起こしている状態が結石性膀胱炎という病気です。 膀胱炎の状態では膀胱の壁がダメージを受けており、痛みの信号を脳に送っています。この信号を受け取った脳がおしっこをしたいという風に解釈することによって、膀胱炎の犬猫さんは何度も繰り返しトイレに行きます。トイレに行っても膀胱の中は空っぽなのでおしっこは出ない、というのが膀胱炎の時のおしっこが出ない仕組みです。
結石性の膀胱炎は雌雄で発生率に違いはありません。
なぜ冬に増える?
冬に尿路閉塞が増える理由は乾燥です。空気が乾燥していると呼吸によって体から失われる水分は増加します。さらに冬場は気温が低くなるので、いつでも飲めるようにとおいてある水を犬猫さんが冷たいと感じてしまうと水を飲む量が減ります。身体から出ていく水分が増えて、入ってくる水分が減ってしまうので、身体の中は脱水状態になりやすいです。脱水状態になると身体に必要な水分を外に出さないように、おしっこの量が少なくなります。おしっこの量が減ると、膀胱の中を洗い流す働きが弱まり結石ができやすくなります。
犬猫さんに尿結石ができないためには多くの水分を摂取してもらうことが有効です。水飲み場を複数箇所に用意していただいたり、ドライフードをウェットフードに変えていただいたり、フードの味が付いたお水を用意していただいたりすることによって、飲水量が1.5倍~2倍増える場合が多いです。
見分け方は?
尿路閉塞と膀胱炎は症状が似ていますが、緊急性は全く異なります。そこで朝まで待っても良いのか、いけないのかをご自宅で見分けるポイントをお伝えいたします。
まず救急症例である尿路閉塞の場合はおしっこは完全に出なくなることがほとんどです。さらに、トイレに行く時間はだいたいいつもと同じくらいの時間に行って、そこでおしっこが出ずに連続してトイレに行くことが多いです。
一方で、膀胱炎の場合はトイレに行くたびにほんの少しずつはおしっこが出ていることが多いです。さらに、トイレに行く時間間隔はだんだんと短くなっていくことが多いです。
尿路閉塞と膀胱炎は似た症状を示し、どちらの場合も100%絶対こっち!と文章で断言することはできません。ご自宅では判断がつかないことも少なくありませんので、そのような症状がみられた場合にはかかりつけの動物病院までご相談ください。
大田区にあるBe犬猫病院は緊急性の高い救急の場合には、夜間や早朝も時間外診療の対応が可能です。土曜日、日曜日、祝祭日も診察を受け付けておりますので、ご家族の犬猫さんにご心配事がございましたらいつでもお越しください。