Be犬猫病院

フィラリアってなに?

フィラリアってなに?

フィラリアってなに?

2024/05/03

 今回の記事は昨年11月に掲載した寄生虫予防③の内容を修正再掲載したものです。

 

 ご家族である犬猫さんが元気にいきいきとその子らしく暮らせる時間を長くしていくために、最も重要なのは予防医療です。ヒトの医療においては病気になってから治療するよりも病気にならないことを目指した医学が広く知られるようになってきていますが、予防医療の方が体の負担も費用の負担も小さくなる点は犬猫さんも同じです。今回は予防医療の中でもフィラリア症に焦点を当ててご紹介しておりますので、この内容を普段の生活に活かしていただけると幸いです。

目次

    まず寄生虫とは?

     寄生というのはある生き物が他の生き物に対して一方的に害を与えながら生きている状態のことを指しています。犬猫さんに寄生する虫は多くいますが、大きく分けると皮膚や毛のような体の表面につく外部寄生虫と胃腸や血管のような体の中に入り込んでくる内部寄生虫に分類することができます。今回取り上げるフィラリア症は体の中である血管に住みつく犬糸状虫という寄生虫によって引き起こされます。

     犬糸状虫とは前述のとおり血に紛れ込んで血管の中に住み着いている虫です。フィラリアという呼び方は犬糸状虫の学名が由来になっていて、犬糸状虫と同じものを指しています。この犬糸状虫に感染してしまうと心臓に大きな負担がかかったり、血管に虫が詰まってしまったり命に係わる危険な状態を作り出すので、健康長寿のためには対策が必要です。

    犬糸状虫症とは?

     犬糸状虫症とは、血液の中に犬糸状虫が住み着いている状態のことを指しています。この寄生虫は、感染している犬猫さんの血を吸った蚊が感染していない犬猫さんの血を吸うことによって移ります。犬糸状虫という名前ですが猫さんにも感染することがあり、ヒトには感染しません。

     感染してしまった場合でも、はじめは症状がありません。血液の中で小さい幼虫が少しずつ成長していく段階だからです。この幼虫が成虫になると心臓の直前の太い血管にへばりつきます。ここで血液の栄養を吸いながらオスとメスによって数を増やしていきます。成虫が住み着くと心臓に入る血流が乱れたり、増えた成虫が心臓の中に入り込んでいくことによって心臓弁膜症という病気を引き起こします。この心臓の中で寄生虫が増えてきた段階で心臓病という形の症状が出始めます。さらに症状が重度に進行すると、血液の成分が寄生虫によって壊されて赤いおしっこが出たり、心臓が全身に血液を送り出すことができなくなったりします。令和の現在では良いお薬が出ている等の要因によって減っていますが、かつては最も多い死因だった危険な感染症です。

    もしもかかってしまったら?

     感染が極めて初期の状態であれば、お薬を使うことによって犬猫さんに負担になることなく寄生虫を除去することができます。体の中に犬糸状虫の成虫が存在している場合にはその程度によってどんな処置をするのかが変わってきます。成虫の数がごく少数であれば、これ以上増えないようなお薬を使いながら虫がいなくなるのを待つこともあり得ます。成虫の数がかなり多くなってしまっている場合には、手術によって心臓から寄生虫を引っ張り出すという場合が多いです。症状が進行していれば、犬猫さんの体の負担も大きくなりますし治療の成功率も低くなります。

    病気にならないことが一番です

     犬猫さんが蚊に刺されなければ、犬糸状虫症にはなりません。蚊や輸血などを介して流れている血液に対して直接犬糸状虫の幼虫が接触しなければ移ることはありません。しかしながら絶対に蚊に刺されないことは現実問題として非常に困難です。そこで犬猫さんの健康長寿のために皆さんにしていただいているのが月に1回の投薬です。この投薬を毎月していただいている間は、蚊などを介して犬糸状虫の幼虫が血の中に入ってきてもそこで定着することができずに除去されます。正しく予防を行うことによって命に係わる危険な感染症を100%確実に防ぐことができます。

    かかりつけの動物病院にご相談ください

     犬糸状虫に対するお薬はいくつか種類があるので、違いを知りたいなどの疑問点はいつでもご相談ください。

     大田区にあるBe犬猫病院は、大切なご家族である犬猫さんが1日でも長く健康でい続けられるように、いろいろな角度から日々の生活をサポートしております。犬糸状虫症に限らず、ワクチンなどすべての犬猫さんにお勧めすることほど最新の知見を丁寧に説明していく必要があると考えておりますので、分からなくなってしまったことは何度でもお尋ねください。また、急にごはんを食べなくなった、吐いてしまった、なんだか元気がない等の症状がある時でも安心していただけるように日曜日も祝日も診察を受け付けておりますのでいつでもご相談ください。

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