折れてしまったら抜くしかないの?犬猫さんの歯科治療
2023/12/08
犬猫さんの口の中はご家庭で細かくチェックすることが難しいので、普段の生活で気づかないうちに歯が折れてしまっていたということもあります。歯が折れてしまった状態を放置すると骨の中に細菌が入り込んで増殖したり、激しい出血を引き起こすために、飼い主さんは注意が必要です。この記事では、犬猫さんの歯が折れてしまう原因や症状、対処法や治療法について解説していきます。一緒に住んでいる犬猫さんにとって日々の暮らしに活かせる情報をお伝えできれば幸いです。
目次
歯が折れているのはどうやってみつける?
まず犬猫さんの歯というのは私たちヒトの歯と形は違いますが構造は同じです。血管や神経が通っている歯髄という部分が中心にあり、その周りを象牙質という組織が覆っています。この象牙質に刺激や損傷が加わると痛みを感じます。この象牙質を守る外側の目に見える部分がエナメル質です。エナメル質は人体で(犬猫さんの体でも)最も硬い組織であり1度壊れると再生することはありません。本来は歯肉の中に埋まっていて目には見えない部分の象牙質を保護しているのがセメント質です。セメント質はエナメル質ほどは硬くないので、歯周病によって歯肉が後退すると傷みやすい部分です。
犬猫さんの歯が折れていることに気が付くきっかけの上位3つは、出血、痛がって鳴く、折れた破片をみつけた、というものです。これらのほとんどの場合で損傷がエナメル質を通り越して象牙質に到達しており、何らかの処置が必要になります。
犬の歯が折れるのはどんな時?
歯が折れてしまう事故は猫さんよりも犬さんで起こることが多いです。というのも、この事故は硬いものを強く噛んだ時に発生することが多く、猫さんはこの行動を取ることが少ないからです。
犬さんでは奥歯の大きい歯が上あごと下あごのかみ合わせに最も影響しているために、この歯が折れてしまうことが多いです。歯の表面のエナメル質はおよそ40kgの力が1点に加わると損傷してしまいます。一方で、犬さんが思い切り強く噛みしめた時のあごの力は100kgとされています。ですので目の届かない場面で硬いものを噛ませることは、歯が折れてしまう事故につながる危険性があるのです。
猫の歯が折れるのはどんな時?
歯が折れてしまう事故が犬さんの方が多いことは事実ですが、猫さんには起こらないというわけではありません。猫さんでも極端に硬いものや尖ったものを噛んだ時に歯が欠ける、割れるということは起こります。
それ以上に猫さんの場合は歯周病が発展して発生する場合がほとんどです。猫さんは私たちのように歯磨きをすることができないことが多いです。それによって歯と歯肉の境目に歯周病菌が繁殖してしまい、歯肉炎を起こしたり、歯そのものを脆くしたりします。
犬猫さんの歯が折れないための注意点は?
歯が折れてしまう事故を防ぐために私たちができることは大きく分けて2つあります。まず1つ目は極端に硬いものを与えないことです。おもちゃを使って一緒に遊ぶ時でも、もしかしたら大興奮して強く噛みついてしまうかもしれません。ヒートアップし過ぎないように休憩しながら遊んだり、仮にヒートアップしてしまっても事故が起こらないような環境づくりを頭の片隅に置いていただくと一緒に暮らしている楽しみをもっと大きくすることができると思います。
そして2つ目は日頃から歯磨きを介したコミュニケーションをとることです。歯磨きによって歯周病菌の増殖を抑えたり、歯肉の血流が良くなって免疫力が向上することも期待できます。普段から歯磨きをしていれば、仮に歯が折れてしまった時でもその変化に早く気が付いてあげられます。
折れてしまった歯はどうなる?
折れてしまった歯を元に戻すことはできません。歯の折れ方によって保存療法や、ヒトのように詰め物を選択できる場合もあります。いずれの場合でも犬猫さんの体全体にとって負担が小さく、健康に過ごす日常に戻っていけるということを第一に治療法をご提案いたします。それぞれの状態によって最善の方法は異なりますので丁寧にご説明いたします。些細なことでも遠慮なくお尋ねください。
歯が折れないような注意点まとめ
犬猫さんの歯が折れる事故は、日々の歯磨きと硬いものに注意することによって減らすことができます。もしも起きてしまった場合には、悪化を防ぐために動物病院にご相談ください。
大田区にあるBe犬猫病院はヒトと同等の歯科治療を行うことが可能です。土日祝日も受け付けておりますので、歯以外のことでも犬猫さんに関する疑問や病気に関するご不明点がございましたらなんでもご相談ください。ご家族の立ち場で丁寧にご説明いたします。